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塗料・色合い

外壁塗装の種類と塗料②

外壁塗装の塗料を構成するものとは?顔料・添加剤・溶媒編

外壁塗装の種類と塗料

塗料に使用される原料~顔料~

塗料には主要素となる「アクリル」や「ウレタン」、「シリコン」、「フッ素」などの主要素(樹脂)の他に、顔料や添加剤、溶剤などが含まれています。
それぞれ、どのような働きがあるのでしょうか?
まずは顔料からご紹介しましょう。

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■顔料とは?

顔料とは、水や油、溶剤などを使っても溶けずに残り、塗料の色彩を生み出す微粉末です。
外壁塗料の色を決めているのは顔料と言っても過言ではありません。
顔料は大きく分類すると、着色顔料・体質顔料・機能性顔料に分けることができ、さらに種類にも様々なものがあるので分類ごとの特徴やどんな色にするのかによっても異なる種類の顔料を使うことになります。

■顔料と染料の違い

顔料と似ているものの中に、「染料」というものがあります。
一見同じもののように思えますが、大きな違いが見られるものなのです。
まず顔料は上記したように水や油、溶剤などを使っても溶けません。
これは粒子が大きいため水に溶けきれていない状態となり、小粒子が残って液体の中にたくさん存在している形になります。
一方で染料の場合は水に完全に溶けているものを指します。
水などに溶けていることから透明性のある発色が特徴的です。
外壁塗装で考えると、顔料の場合染料のような透明性のある発色は苦手ですが、顔料自体に耐水性・耐候性を持つため屋外である外壁にも利用しやすくなっています。
染料では耐水性や耐候性、また色がつきにくいという理由から、染料ではなく顔料が外壁塗装の塗料として使われるようになりました。

■着色顔料

着色顔料は主に石油や石炭などから合成した色粉を使ったものと、金属を原料とした色粉を使ったものの2種類に分けられます。
着色顔料では外壁に塗装した際に作られる塗膜が、光に当たることによってそれぞれの波長を吸収もしくは反射することにより塗膜の色を出しています。
例えば光の波長が500~570であれば緑、440~500は青というような感じで色合いが変わってくるのです。
主に赤はパーマネントレッド、黄色はファーストイエロー、緑はフタロシアニングリーンなどの顔料となります。
また、着色顔料では少量でもちゃんと着色できるか、下地を完全に隠せる隠蔽力があるか、色が落ちないか、などの点から評価され、使用されています。

・着色できるかどうか

着色力が強い顔料と弱い顔料によってどんなメリットがあるのかというと、使用する塗料の量を少なくさせることができるというメリットが挙げられます。
着色力が弱い顔料を使用すると、外壁塗装の際に何度も何度も上塗りをしなくてはいけないので、手間になりやすく、施工主にとっても費用がかさんできてしまいます。
しかし、着色力が強い顔料なら1回の塗りだけでしっかりと着色することができ、手間も省けるのです。

・下地の隠蔽力

顔料は元々マットな色合いになりますが、特にマットで透明度が少ないものの方が下地をしっかり隠すことができるので評価されるポイントとなります。
この隠蔽力が高ければ高い程、1回の塗りで厚みのある塗りにすることができ、こちらも着色力同様、1回の塗りでしっかりと下地が隠せるようになっています。

■体質顔料

体質顔料とは主に岩石や粘土といった鉱物、さらに貝殻を砕いたものから作られる顔料で、様々な用途に使われることが多いです。
主に炭酸カルシウムや硫酸バリウムなど、体質顔料自体は白色をしているものが多いのですが、塗料に混ぜ合わせることによって無色透明になるため、着色顔料のような着色力は持っていません。

そのため外壁塗装の仕上げに使用するというよりも、下塗り塗料の中へ混ぜ合わせたり、白色系の塗料に量を増やす目的で配合されることが多いです。
体質顔料は塗膜の性能をアップさせるためにも使えますが、どちらかと言うと作業効率をアップさせたり乾燥後に塗膜が均一でない場合に起こり得る肉持不良を改善させる効果が期待できます。

■機能性顔料

機能性顔料とは主に金属系の原料を使用することで、それぞれの機能に特化した塗料に仕上げる顔料を言います。
中でも取り入れられることが多いのは、防錆顔料です。
防錆顔料は名前の通り、顔料に防錆機能を追加したもので、鉛やクロム、亜鉛などを原料にして作られています。
外壁には窓枠やガルバリウム鋼板、ダクトなどの錆が付着しやすいものがあるのですが、こういったものが錆びてしまわないように防錆顔料が配合された塗料を塗ると自宅を錆から守ってくれるでしょう。

防錆の他にも原料によって耐熱・防火性能、張り紙が外壁にくっつかないようにするためのものなど、様々な機能性顔料があるため、外壁塗装の際にはどんな機能を求めているのかを確認してから、どういったものを選びたいのか考えてみましょう。
ちなみに、「MIO」という特殊な顔料は、外壁にも見られることがある腐食の原因につながる成分を侵入させないようにし、腐食を防ぐ役割を持っています。

塗料に使用される原料~添加剤~

外壁塗装の塗料は顔料だけではなく、塗料の品質や作業性を向上させるために添加物が混ぜ合わさっています。
その添加剤にも様々な種類があり、引き出す効果も異なるのです。
では、塗料の原料に使われる添加剤についてご紹介します。

■添加剤とは

外壁塗装で使われる塗料には添加剤が含まれています。
塗料を製造する段階で、ビヒクルと顔料を均等に分散させ、沈殿や凝集などを防ぎ、品質の安定化の役割のため、添加剤を加えるのです。
さらに、塗装時に作業性を高めたり、塗膜にカビなどの付着を防いだりする働きにも添加剤が関わっています。
含まれる量はわずかですが、塗料の特性を引き出すために必要な成分なのです。
なお、添加剤は塗料の製造時に添加されるものと、条件によって現場で添加する場合があります。
市販の塗料は製造時に添加されており、基本的に塗料の缶には詳しい添加剤は記載されていません。

■界面活性剤

脂肪酸や有機酸、金属塩などが使われており、家庭用洗剤に含まれる添加物としても知られています。
界面活性剤の役割は湿潤剤の効果で表面張力の低下や顔料の固まりを防ぎ、塗料を均等に分散させる働き、保管中の沈降防止剤としての働きを持っています。
ただし、沈降防止剤の働きがあっても比重が異なる物質が含まれているので、使用する前によくかき混ぜて均等な状態にしなくてはいけません。

■たれ防止剤

外壁に塗った塗料がたれると流れた部分が薄くなったり、流れた部分が乾いた後に残ってしまったりする可能性があり、それを防ぐ役割を持っている添加物がたれ防止剤です。
たれ防止剤には付着性を高めるベントナイトや脂肪酸アミド、金属石鹸などが使われています。
刷毛やローラー、スプレーガンでの吹き付けなどの塗装作業性を良くするために粘度を調整し、外壁から塗膜が流れ落ちてしまうことを防ぐ役割を持っています。

■消泡剤

塗料を製造する段階や、刷毛やスプレーガンで塗料を塗布する際に空気が巻き込まれてしまい気泡が発生します。
気泡が塗膜表面に残ってしまうと、乾燥した後に気泡の跡がついてしまい、景観美が損なわれてしまうでしょう。
その気泡を消してくれるのが消泡剤であり、シリコン化合物やビニル系化合物などが使用されます。

■色別れ防止剤

種類の異なる2種類以上の顔料を混ぜ合わせて使用する場合、顔料の比重や粒子のサイズ、それぞれの凝集力の差により色別れが起き、そのまま塗布すると色ムラが起きてしまう可能性があります。
その現象を防ぐためにシリコン化合物やレシチン、界面活性剤などの色別れ防止剤を使用することで色別れを防ぎます。

■防腐剤・防カビ剤

雨風に当たる外壁はカビが発生しやすく、塗膜の性能を落とす原因に繋がります。
外壁に付着するカビ菌はゴミやほこりなど、様々な有機物をエサとして繁殖しており、特に塗料に含まれる界面活性剤はカビの栄養源になりやすいので、それを防止するために防腐剤や防カビ剤の添加物が使用されているのです。
カビ対策では有機水銀化合物や有機スズ化合物が有効ですが、健康被害を及ぼす有害物質であるため使用が禁止されています。
現在は有機塩素化合物やファミノール化合物などが防腐剤・防カビ剤として使われていますが、このような添加物は無数にあるカビ菌の全てに対応しているわけではないことを理解しておきましょう。

■可塑剤

可塑剤にはDOP(デイオクチルフタレート)やDBP(ディブチルフタレート)、ひまし油が使われています。
添加剤が分子同士の間に入り込み、すべり剤としての役割をしてくれるのです。
塗料に軟らかさと肉持感を与え、付着力を高める添加剤なので、主にアクリルラッカーや塩化ビニル系塗料に使用されています。
この可塑剤は軟質塩化ビニルなどの軟らかいプラスチックの成形時にも添加されていますが、時間が経過するとブリード現象を起こす性質も持っています。
可塑剤が添加してある材料に塗料を直接塗布すると色々な影響を受けてしまう可能性があるので注意しましょう。

■皮はり防止剤

塗料の種類によっては使用していない間、塗料が空気に接することで表面に皮をはってしまう現象が起きてしまいます。
それを防ぐ添加剤が皮はり防止剤であり、主にフタル酸樹脂や合成樹脂塗料に使用されているのです。
皮はり防止剤では塗料に溶け込む酸素を吸収することが可能なフィノール系化合物などが利用されています。
しかし、このフィノール系化合物は過剰に加えてしまうと、塗膜の乾きが長時間に及ぶこともあり、弊害が大きい添加剤とも言えるでしょう。

■レベリング剤

塗料の流動性が悪いと、ロール目や刷毛目ができて綺麗な仕上がりになりません。
レベリング材にはアクリル系重合物などが使用されており、塗料の流動性を高めて、ロール目や刷毛目を防ぎ綺麗に塗布することに役立つ添加物です。

■乾燥剤

乾燥剤は油性塗料や油変性アルキド樹脂塗料など乾きにくい酸化重合型の塗料に添加されています。
乾燥を早める働きがありますが、過剰の添加は塗料の皮はりや縮みなどの原因となり、耐久性も落ちてしまうので注意が必要です。

塗料に使用される原料~溶媒~

「溶媒」とは様々なものを溶かすための成分のことを言います。
顔料・添加剤に続き、塗料に使われる溶媒について詳しくご紹介していきます。

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■溶媒について

一般的に塗料には、「有機溶剤」と「水」が溶媒として使われています。
この溶媒とは、良質な塗膜を作る上で非常に重要な役割になっているのです。
塗膜状態になった時に消えてなくなってしまう成分を、液状に保っていられるので均一に塗ることができ、作業効果が高くなります。
有機溶剤とは、物質を溶かす性質を持っている有機化合物によって溶解や洗浄、抽出などの処理に使われる化学物質のことを言い、多くの種類がみられます。
この化学物質はそれぞれ溶解力や沸点などの性質に違いがあるのですが、混合することで相乗効果を発揮し、溶解能力や蒸発特性、天延性などの機能を持たせることが可能です。
塗料に使った場合、それぞれの役割は以下のようになります。

①主溶剤・助溶剤

主溶剤は、溶剤単独でも樹脂等を溶解するものを言います。
反対に助溶剤は、溶剤単独では溶解することができませんが、主溶剤と合わせることで溶解性能を向上させることができる溶剤です。
どちらも樹脂などの固形分を溶かし、液状にするという役割に変わりはありません。

②希釈剤

希釈剤によって塗料を薄めることで、粘りを少なくする働きをしてくれます。
塗料を塗りやすくするために使用するものなので、あまり過剰に混ぜてしまうと膜厚を確保できなくなってしまい、外壁塗装として使えなくなってしまいます。
適度な量で調節することが必要です。

③リターダー

主要剤や硬化剤がリターダーに反応することで、塗料が乾燥する時間を遅らせることができます。
蒸発する働きを抑えて乾燥時間を調整してくれるので、高分子化する時間を確保できるでしょう。
現場では塗料を薄くするためにシンナーが使用されますが、補助材料として扱われているため塗料の主要素に対しての溶解性や蒸発特性などを踏まえて混合させます。

■注意すべき点

ウレタン系塗料の場合は、ラッカーシンナーのようにアルコール系組成の溶剤を使用すると硬化剤が反応してしまいます。
そのため、適切な重合反応がしにくくなるので注意が必要です。
ペイント薄め液とも呼ばれている「塗料用シンナー」は、どこの現場にも持ち込まれるものですが、溶解力が全くないため樹脂成分もだんご状に固まってしまいます。
塗料用シンナーは各種溶剤系塗料の希釈剤として選ばれていますが、間違ってラッカーシンナーで薄めてしまうと問題に発展してしまうでしょう。
ラッカーシンナーには強力な溶解力があるため見た目はちゃんと混合しているように見えても、そのまま塗装してしまうと艶がなくなってしまったり、2回重ね塗りした時にシワが寄ってしまうなど、様々なトラブルを引き起こしてしまいます。
シンナーであればどれも同じという訳ではなく、きちんと各塗料によって適している専用シンナーを使用するようにしましょう。

■塗装作業現場においての事情

実際の現場作業では、対象物や天候条件などによって極めて塗装作業がしにくい状況が発生します。
このような時に、シンナーを混ぜて塗料を塗りやすくすると、作業スピードをアップさせることができるのですが、仕上がりが悪くなってしまう可能性もあるので注意しなくてはなりません。
外壁塗装の際は、雨や風があると周囲に塗装成分や臭いが拡散するので作業者への負担が少なくなりますが、紫外線や雨風にさらされてしまうので高い技術と性能の良い塗料を使う必要が出てきます。
また、外壁塗装には塗料に使われている有害な化合物が多いため、環境保護に対する問題点が多いことも挙げられます。

■水性塗料は大幅なVOC対策になる

塗料の性質は日々進化している証拠として、揮発性有機化合物(VOC)対策が制定し弱溶剤化が進んできています。
PRTR法によっても指定されたトルエンなどの化学物質を使用しないように、配合成分の見直しが行われているようです。
このようなことから、溶剤系の塗料に関しては高性能と一般的に評価されていても環境への配慮が欠けてしまうと問題になってしまいます。
戸建住宅や塗装の塗り替え作業は、依頼主が住んでいる場所であったり、隣家と接している住まいが多いので、悪影響が及ばない水系の塗料を取り入れる方向性が必要です。

水性塗料は、シンナーを使わないため安全で臭いの刺激などが少なくなっています。
しかし完全にVOC削減ができている訳ではないので、換気や容器などの取扱いは有機溶剤やシンナー同様、その都度密缶させる必要があります。
雨に弱く艶が落ちやすいので、条件によっては仕上がりに変化が出てしまうことも考えられますが、人体や環境面で害が少ないということが一番のメリットと言えるでしょう。

塗料はなぜ固まるのか

■温度によって固まる塗料

外壁塗装では液状の塗料を薄い膜へ変化させ、短時間で固める必要があります。
そのために様々な化学反応や物理反応が応用されているのです。
固めるために必要な温度で分類してみると、高温で固まる塗料と常温で固まる塗料に分けることができます。
高温で固める塗料は以下のものです。

・熱硬化型アクリル樹脂塗料
・シリコン樹脂塗料
・フッ素樹脂塗料 など

これらの塗料の用途は自動車や家電製品に用いられることが多く、建材素材としては金属サイディングの仕上げに使用されています。
一方、外壁塗装に使用される塗料は、常温で固まる塗料が多いです。

・アクリル樹脂塗料
・アクリルウレタン樹脂塗料
・アクリルシリコン樹脂塗料

これらの塗料は常温で固まる塗料になります。

■2液型と1液型について

現場への供給形態によっては、2液型と1液型の塗料に分かれます。
2液型塗料は、塗装を行う直前に主剤と硬化剤を混ぜて、外壁に塗布する塗料です。
2種類の塗料の反応により、塗料を固めるようにしています。
一方、1液型塗料は溶媒が揮発していくことでビヒクルが固まる塗料を指します。
2型塗料とは異なり、塗料を混ぜ合わせる手間がないことは利点として挙げられるでしょう。

■硬化方法の分類について

塗料を固める過程を化学的・物理的な原理で分類すると、以下のようになります。

・揮発

ラッカーや塩ビ塗料、アクリル樹脂塗料が当てはまります。
希釈剤が蒸発することで塗料が固まっていきます。

・酸化

ボイル油が当てはまります。
空気中の酸素を吸収することで、重合硬化します。

・重合

主剤と硬化剤が反応して固める方法で、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂塗料などが当てはまります。

・揮発酸化重合

フタル酸樹脂塗料や錆止めペインなどが当てはまり、希釈剤が蒸発した後、酸素吸収によって重合硬化を起こします。

・揮発重合

水系アクリルウレタン塗料が当てはまり、溶媒が蒸発して分散していたポリマーが反応して固まる原理です。

・分散粒子融合

アクリルエマルジョン塗料やNAD塗料に当てはまり、溶媒が蒸発して分散された樹脂が融着することで固まります。

■最も重要視されている化学反応が重合

外壁塗装で使用される塗料でも最も重要な役割を持つ化学反応が「重合」です。
重合は単純な構造をしているモノマー(低分子)の分子同士を結合させて、大きな合成樹脂(高分子)を形成する化学反応を言います。
また、合成された化合物はポリマーと呼ばれています。
重合させる時に加熱すると、分子同士が結合して硬く変化させる焼付け塗料というものもあります。

常温条件下で作業を行う外壁塗装の塗料の場合は、アクリルウレタン塗料のように主剤と硬化剤を混ぜ合わせて重合させる、2液反応硬化型塗料というものがあるのですが、この塗料では2つの塗料が反応する前は低粘度・低分子量の高分子です。
この場合、素地に浸透してから固まるので弱い基材の補強にもなり、吸水性を高める効果なども期待できます。
しかし、2種類の塗料を合わせるとすぐに硬化現象が始まってしまうので、一定時間内に塗る必要があり、塗料ごとにそれぞれ塗る時間が決められています。

■1液反応硬化型塗料のアクリルウレタン塗料

最近はアクリルウレタン塗料でも1液反応硬化型塗料があります。
2液型に近い性能を保有し、溶剤を使わないので使いやすさにメリットがあり、需要も高まっている塗料です。
1液反応硬化型塗料は溶媒に使用されている水分が蒸発すると反応硬化を起こします。
水中に主剤と架橋剤が分散されており、水分蒸発によって反応するよう作られているのです。
このような化学反応と物理反応の2つを安定させるためには、原料が微粒子状で均等に混じり合うことが重要となります。
1液反応硬化型塗料の化学現象は、本来水に溶けることがない乾性油や樹脂状物質、界面活性剤などの乳化剤の働きによって水中に拡散させるもので、分散状態と言われています。
分散状態は樹脂や顔料は液状ですが、溶媒している状態ではなく、2つの液体が溶け合わずに、どちらかの液体が小滴上に分散している現象のことを指します。

■分散状態を応用したエマルジョン型塗料

分散現象を応用したエマルジョン型塗料は溶媒の中に固形分が拡散しています。
そして、塗装をすると水分が蒸発し、樹脂分が融合して塗料が固まるという仕組みです。
この硬化方法を分散粒子融合と言います。
エマルジョン型塗料は牛乳の主たんぱく質になるカゼインが主原料でしたが、現在はモノマーと乳化剤、水、重合触媒を混ぜ合わせて加熱し、乳化重合したポリマーと可塑剤を混ぜ合わせています。
そこに浸潤剤や分散剤などの添加物、前練りした顔料ペーストを加えて完成する塗料です。
この塗料は水を溶媒にしているので、環境に優しく掃除も簡単なので、外壁塗装や家庭用塗装など色々なものに使われています。
また、エマルジョンの技術はあらゆる塗料の生産で応用されてきています。
NAD(弱溶剤)という塗料は、溶剤の中にポリマーが拡散することで液状となり、溶剤が揮発されることで固まります。
溶剤分が少量なので不快な臭いが少なく、塗料のタレも少ないので作業性が高い塗料です。

塗膜が付着する仕組み

塗料に使われる原料の中には、様々なものが含まれているため塗膜が作りやすいものとそうでないものがあります。
また、塗料の対象物によっても違いが起こるのです。
ここでは、塗料の構成において必要不可欠な塗膜について詳しく説明していきます。

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■付着力の特性について

塗装で一番大切なことは物体を綺麗に、そして保護するという役目を持っていると考えられます。
この働きを示すためには液状である塗料が硬化し、塗膜を作って物体にしっかり付着していなければいけません。
付着力が弱かったり、強かったりするのは塗料の特性を考える上で最も重要な問題になってきます。
理論的な考え方によって「どうして付着するのか」、「どのくらいの力加減によって付着するのか」などのテーマが今まで考えられてきました。
多くの理論を簡単に説明することは難しいですが、要約すると「分子間に働く引力」によって付着していることが基本になっていると言えるでしょう。

■分子間の引力とは

分子間の引力とは、オランダの物理哲学者・ファンデルワールスによって解明されたもので、分子論の考え方に基づき解明されています。
「ファンデルワールス力」と呼ばれている分子間の引力は、それぞれの分子同士が結合することと比較すると、ファンデルワールス力はかなり弱い結合エネルギーなのですが、付着するポリマーの分子量が極めて多く、それぞれの分子に備わっている極性基同士が引き合うことで異なる分子同士がつながるエネルギーとなっています。
これらのエネルギーを理論計算してみると、その力は1トン/c㎡以上にもなる大きな力とされているのです。
これに対し、実際の付着力はアドヒージョンテスター(塗料粘着力検査計)を用いて測定すると、ばらつきのある測定結果となります。
この数値は理論値で言う、10~100分の1の値に過ぎません。
アドヒージョンテスターで測定する場合は、小さなドリーをエポキシ系接着剤を使って塗膜面にくっつけた後、引き剥がす力を実測するためばらつきも大きくなってしまうのですが、理論値と実測値の差が大きくなることは決して大きな問題にはならないのです。

■塗装する時の表面上の注意

塗料もしくは塗膜においては、その材料の表面性状の違いが大きいものであることが証明されています。
それによって測定値への影響力は塗膜よりも非常に大きくなり、表面性が良くないと活性化された極性基が減って、ファンデルワールス力も極端に働かなくなってしまうということにつながってしまいます。
ですから、塗装に関しては表面をいかに綺麗なものにすることが重要なのです。
別の言い方で表現すると、どんなに高性能で付着しやすい塗料を使ったとしても、外壁に油脂成分や異物、汚れがあった場合、塗料の性能が十二分に活かせないということが明らかになります。
ちなみに塗装する際には付着する表面の粗さも重要なポイントになってきます。
金属面を塗装する場合は、サンドペーパーで表面を粗くする作業が必要です。
金属面を粗くする作業はそのまま塗料を塗っても膜の厚さが均等で、強度のある塗膜が付着しづらいためで、小さな凹凸部分を作ることにより表面積が大きくなるのでしっかりと塗膜を付着させることができます。
ただし、表面の粗さが大きすぎるとその部分に空気が入って気泡を作ってしまう可能性があるので注意してください。

元々塗膜してあるものの上から塗る場合は、表面に残っている汚れや異物は取り除かなければいけません。
チョーキングの粉や、錆を完全に落とす作業も必要です。
このように、塗装前には素地調整をすることや前処理を行っておくことが基本と言えるでしょう。

■付着性能の試験方法について

外壁塗装で使用する塗料の付着性能は、塗装する外壁下地の特性を知り、様々な環境条件によって試された試験評価によって研究されてきました。
一般的な試験項目や試験方法などは以下のようになっています。
負荷を一定時間内にかけた場合、剥離がないということが性能条件となります。

・耐水性試験

20℃水道水浸漬720時間後碁盤目剥離試験

・耐アルカリ性試験

飽和水酸化カルシウム溶液に240時間浸漬後碁盤目剥離試験

・耐酸性試験

5%硫酸浸漬後碁盤目剥離試験

各塗料メーカーのカタログには、このような評価結果が表記されています。
試験方法についてはJIS規格で定められていますが、試験液に浸漬させている時間は項目によって違うので一定条件にはなっていません。
もしもカタログに記載されている試験条件が「異常なし」とされていたとしても、どのような条件で異常がなかったのかということに注目してみましょう。
よく見ると、カタログで表示してある試験条件は、240時間(10日間)浸漬させた場合と、720時間(30日間)浸漬させた場合があるので、あらかじめ認識しておくことが大切です。

外壁塗装の際、塗料が壁にきちんと付着することが当たり前だと思われていますが、きちんと塗料が接着できる理由があったということが分かっていただけたかと思います。
難しい部分ではありますが、原理や基礎を知ることで正しく効果的な外壁塗装につながるでしょう。

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